家族信託のやり方|手続きの流れ、費用、注意点、専門家選びまで徹底解説!

家族信託とは、ご自身の財産を、信頼できる家族に託して管理・運用してもらう制度です。近年、認知症対策や相続対策として注目されていますが、「家族信託の手続きは難しそう」「専門家に頼むと費用が高そう」と、なかなか踏み出せない方も多いのではないでしょうか?

この記事では、家族信託の仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説するとともに、実際に家族信託を行う際の手続きの流れや費用、そして注意点について詳しく説明していきます。さらに、信頼できる専門家の選び方についても解説するので、家族信託を検討している方はぜひ参考にしてください。

家族信託とは?仕組みとメリット・デメリットを理解する

家族信託は、ご自身の財産を家族に託して、その財産を管理・運用してもらう制度です。例えば、ご自身が認知症になってしまった場合でも、家族が財産を管理・運用し、生活費を確保したり、医療費を支払ったりすることができます。

家族信託の仕組み:財産を託して管理する仕組み

家族信託では、財産の所有者である「委託者」、財産の管理を任される「受託者」、そして財産の運用益などを受け取る「受益者」の3つの役割があります。

  • 委託者:自分の財産を託す人(例:高齢の親)
  • 受託者:財産の管理を任される人(例:子供)
  • 受益者:財産の運用益などを受け取る人(例:委託者本人、または他の家族)

家族信託では、委託者は受託者に財産を託すことで、その財産の管理を任せます。受託者は委託者の意向に基づいて、信託財産を管理・運用し、受益者に利益を分配するなどの業務を行います。

家族信託のイメージ

例えば、高齢の親が認知症になってしまい、自分で財産を管理することが難しくなった場合、家族信託を利用することで、子供に財産の管理を任せられます。子供は受託者として、親の財産を管理し、生活費や医療費などを支払うことができます。

家族信託のメリット:相続対策、財産管理、認知症対策など

家族信託には、さまざまなメリットがあります。

  • 認知症対策:認知症になってしまった場合でも、家族が財産を管理・運用することができます。
  • 相続対策:相続の際に、家族間のトラブルを防ぐことができます。
  • 財産管理:財産を効率的に管理・運用することができます。
  • 事業承継:事業をスムーズに後継者に引き継ぐことができます。
  • 財産の保全:財産を第三者から守ることができます。

家族信託のデメリット:費用、手続きの複雑さ、家族間のトラブルの可能性など

家族信託には、メリットだけでなくデメリットもあります。

  • 費用:家族信託の手続きには、専門家への報酬や公正証書の作成費用など、費用がかかります。
  • 手続きの複雑さ:家族信託の手続きは、専門的な知識が必要で、複雑な場合があります。
  • 家族間のトラブル:家族信託の内容や運用方法について、家族間で意見が食い違う可能性があります。
  • 信託期間:家族信託は、信託期間が終了すると、信託が終了します。

家族信託の手続きの流れ:準備から開始、終了まで

家族信託の手続きは、大きく分けて下記の3つのステップに分けられます。

STEP1. 家族信託の目的と内容を決める

家族信託を行うためには、まず、家族信託の目的を明確にする必要があります。目的が定まれば、それに応じた信託の内容を決めることができます。家族信託の目的は、認知症対策、相続対策、事業承継など、さまざまです。

例えば、認知症対策の場合、親が認知症になってしまった際に、財産を管理・運用し、生活費や医療費を確保するための信託契約を結ぶことになります。

家族信託の内容は、信託する財産、受託者、受益者、信託期間、信託終了時の財産の扱い方などを決める必要があります。家族間で話し合い、全員が納得する内容にすることが重要です。

STEP2. 信託契約書を作成する

家族信託の内容が決まったら、信託契約書を作成します。信託契約書には、家族信託の目的、信託財産、受託者、受益者、信託期間、信託終了時の財産の扱い方などが記載されます。

信託契約書は、公正証書で作成することをおすすめします。公正証書は、公証人によって作成される公文書で、法的効力が高く、将来のトラブルを回避するのに役立ちます。

STEP3. 信託財産の名義変更(登記など)を行う

信託契約書が作成されたら、信託財産の名義変更を行います。信託財産の種類によって、必要な手続きが異なります。

  • 不動産の場合、信託登記を行います。
  • 自動車の場合、名義変更を行います。
  • 預金や株式などの金融資産の場合、信託口口座を開設します。

家族信託にかかる費用:専門家への依頼費用、手続き費用など

家族信託にかかる費用は、信託財産の規模や内容、専門家の報酬によって異なりますが、一般的に以下のような費用がかかります。

信託契約書作成費用:公正証書、私文書による作成

  • 公正証書:公証人の手数料、収入印紙代など。信託財産の額によって費用が異なりますが、5万円前後から9万円程度の費用をみておくと良いでしょう。
  • 私文書:公正証書よりも費用は抑えられますが、信託口口座の開設が認められない金融機関もあるなど、デメリットがあります。

登記費用:不動産、自動車などの登記費用

信託財産に不動産が含まれている場合は、信託登記の費用がかかります。登記費用は、不動産の価格や地域によって異なりますが、10万円程度が目安です。

自動車を信託する場合、名義変更の費用がかかります。名義変更の費用は、自動車の種類や地域によって異なりますが、1万円程度が目安です。

専門家報酬:司法書士、弁護士、税理士などの報酬

家族信託の手続きを専門家に依頼する場合、専門家への報酬が必要です。専門家への報酬は、信託財産の規模や内容、専門家の経験や実績によって異なりますが、数十万円から数百万円程度かかることもあります。

家族信託の手続きにおける注意点:専門家選び、契約内容の確認など

家族信託の手続きは、専門的な知識が必要なため、自分で行うのは難しいです。信頼できる専門家に相談し、サポートを受けることをおすすめします。

家族信託の専門家選び:信頼できる専門家を見つける

家族信託の専門家を選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。

  • 家族信託の実績があるかどうか
  • 信託法などの関連する法律に精通しているかどうか
  • 相談しやすい人柄かどうか
  • 料金体系が明確になっているかどうか

家族信託の専門家は、弁護士、司法書士、税理士など、さまざまな資格を持つ人がいます。家族信託を専門に扱っている会社や団体もあります。

複数の専門家に相談し、比較検討することをおすすめします。

契約内容の確認:家族信託の内容をしっかり理解する

家族信託の契約書は、非常に重要な書類です。契約内容をしっかり理解した上で、署名・捺印を行いましょう。

特に、信託財産、受託者、受益者、信託期間、信託終了時の財産の扱い方などは、よく確認する必要があります。

契約内容に疑問点があれば、専門家に質問し、納得いくまで説明を受けましょう。

家族間のコミュニケーション:家族間で話し合い、合意形成を図る

家族信託は、家族間の信頼関係が非常に重要です。家族間で話し合い、全員が納得する内容にすることが大切です。

特に、信託する財産、受託者、受益者、信託期間など、重要な項目については、家族間でよく話し合い、合意形成を図りましょう。

まとめ

家族信託は、認知症対策や相続対策、事業承継など、さまざまな場面で活用できる有効な制度です。家族信託を行う際には、家族信託の仕組みやメリット・デメリット、手続きの流れ、費用、注意点などをよく理解した上で、信頼できる専門家に相談し、サポートを受けることをおすすめします。

家族信託を検討している方は、この記事を参考にして、家族の未来を明るいものにしてください。