ゆうちょ銀行で家族信託を利用する前に知っておきたいこと!メリット・デメリット・注意点

ゆうちょ銀行は、日本全国に多くの支店があり、高齢者の方々にとって身近な存在です。そのため、家族信託を検討する際に、ゆうちょ銀行で相談したり、サービスを利用したりすることを考える方も多いのではないでしょうか?しかし、ゆうちょ銀行が提供する家族信託サービスは、一般的な家族信託とは少し違います。この記事では、ゆうちょ銀行の家族信託サービスの特徴やメリット、デメリット、そして利用する際の注意点などを詳しく解説していきます。ゆうちょ銀行で家族信託を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ゆうちょ銀行の家族信託サービスの特徴

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、かんぽ生命が提携しているファミトラという会社が提供しています。ファミトラは、家族信託の専門家ではありませんが、家族信託の組成や運営を支援するサービスを提供しています。かんぽ生命の保険契約者や被保険者などは、ファミトラのサービスを割引価格で利用できます。

ゆうちょ銀行の家族信託は、商事信託と呼ばれる形式を採用

ゆうちょ銀行が提供する家族信託サービスは、”商事信託”という形式を採用しています。商事信託とは、銀行や信託会社などの専門機関が受託者となり、営利を目的として財産の管理や運用を行う信託です。一方、一般的な家族信託は、”民事信託”と呼ばれる形式で、家族が受託者となり、営利を目的とせずに、委託者のために財産の管理や運用を行います。

商事信託と民事信託の違い

  • 商事信託:銀行や信託会社などの専門機関が受託者となり、営利を目的として財産の管理や運用を行う。
  • 民事信託:家族が受託者となり、営利を目的とせずに、委託者のために財産の管理や運用を行う。

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、銀行が受託者となり、財産の管理や運用を行うため、”家族信託”というよりも、銀行が提供する商品・サービスと考えた方が良いでしょう。

預金や投資信託などの金融商品を対象とする

ゆうちょ銀行の家族信託サービスでは、預金や投資信託などの金融商品を対象としています。具体的には、ゆうちょ銀行の口座にある預金や、かんぽ生命の保険契約などです。不動産などの不動産は対象外となります。

不動産などの不動産は対象外

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、金融商品を対象とした商事信託であるため、不動産は対象外となります。不動産の信託を行う場合は、民事信託で、家族が受託者となる必要があります。

ゆうちょ銀行の家族信託を利用するメリット

ゆうちょ銀行の家族信託サービスを利用するメリットは、主に以下の3つです。

相続発生後すぐに資金を引き出せる

ゆうちょ銀行の家族信託サービスでは、委託者が亡くなった際に、すぐに家族が資金を受け取ることができます。通常の相続手続きでは、遺産分割協議など、さまざまな手続きが必要となり、時間がかかる場合があります。しかし、ゆうちょ銀行の家族信託サービスであれば、そのような複雑な手続きを経ることなく、すぐに資金を引き出せるため、葬儀費用や生活費など、急な出費にも対応できます。

相続発生後の資金の受け取り方を選択できる

ゆうちょ銀行の家族信託サービスでは、相続発生後に、資金を一括で受け取る方法と、毎月一定額を分割で受け取る方法を選ぶことができます。家族の状況やニーズに合わせて、資金の受け取り方を選択できるのは大きなメリットです。

受託者を頼める人がいなくても、銀行が受託者として財産管理を行ってくれる

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、銀行が受託者となり、財産を管理します。そのため、家族や近親者に受託者を頼める人がいない場合でも、安心して利用できます。たとえば、家族と疎遠な方や、独居の高齢者の方、子どもが遠方に住んでいて面倒を見れないなどの事情がある方にとって、有効なサービスといえるでしょう。

ゆうちょ銀行の家族信託を利用するデメリット

ゆうちょ銀行の家族信託サービスには、いくつかのデメリットがあります。

不動産は対象外

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、金融商品を対象としているため、不動産は対象外です。不動産を信託したい場合は、民事信託で、家族が受託者となる必要があります。

少額では利用できない

ゆうちょ銀行の家族信託サービスでは、信託できる金額に最低限度額が設定されています。最低限度額は、銀行によって異なりますので、事前に確認する必要があります。

銀行が定めたサービス内容の範囲に従う必要がある

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、銀行が定めたサービス内容の範囲でしか契約できません。そのため、家族の状況やニーズに合わせて、柔軟に信託内容を設計することは難しい場合があります。

ゆうちょ銀行の家族信託を利用する際の注意点

ゆうちょ銀行の家族信託サービスを利用する際には、以下の点に注意が必要です。

信託契約の内容をよく確認する

信託契約の内容は、家族信託の目的や将来の相続などを大きく左右します。そのため、信託契約の内容をよく理解した上で、契約を締結しましょう。特に、信託財産の範囲、受託者の役割、信託期間、信託終了後の財産の扱い方などは、しっかりと確認しておきましょう。

信託費用について事前に確認する

ゆうちょ銀行の家族信託サービスには、信託報酬や信託事務手数料など、信託費用が発生します。信託費用は、銀行によって異なりますので、事前に確認し、予算と照らし合わせて検討しましょう。また、信託契約書作成や登記手続きなどの費用も別途発生する場合がありますので、事前に確認が必要です。

必要に応じて専門家に相談する

家族信託は、法律的な知識や専門的な知識が必要となる複雑な制度です。契約内容をよく理解できない場合や、不安な点がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

まとめ

ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、銀行が受託者となり、金融商品を対象とした商事信託です。家族信託と呼ぶよりも、銀行が提供する商品・サービスと考えた方が良いでしょう。相続発生後すぐに資金を引き出せる、相続発生後の資金の受け取り方を選択できる、受託者を頼める人がいなくても、銀行が受託者として財産管理を行ってくれるなどのメリットがあります。しかし、不動産は対象外、少額では利用できない、銀行が定めたサービス内容の範囲に従う必要があるなどのデメリットもあります。また、信託契約の内容をよく確認し、信託費用について事前に確認する、必要に応じて専門家に相談するなどの注意が必要です。ゆうちょ銀行の家族信託サービスは、家族の状況やニーズによって、必ずしも最適な選択肢とは限りません。家族信託を検討する際には、メリットとデメリットを比較検討し、専門家に相談しながら、ご自身にとって最適な方法を選択することが大切です。