相続放棄したのに固定資産税の請求が来た!支払う義務はある?対処法を解説
相続放棄をしたのに、固定資産税の請求が来てしまった…そんな経験をした方はいませんか?
「相続放棄をしたのに、なぜ?」と疑問に思うかもしれません。
この記事では、相続放棄と固定資産税の関係性、相続放棄後も固定資産税の請求がくるケース、そして請求が来たときの対処法について解説します。
相続放棄を考えている方、すでに相続放棄をしたけど固定資産税の請求が来た方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

相続放棄と固定資産税の関係:基本的な考え方

相続放棄と固定資産税の関係について、まずは基本的な考え方を理解しましょう。

相続放棄とは何か?

相続放棄とは、亡くなった方の財産を受け継がないことを宣言することです。
相続放棄をすると、亡くなった方の財産(プラスの財産)だけでなく、借金などの負債(マイナスの財産)も引き継ぐことはなくなります。

固定資産税とは何か?

固定資産税とは、土地や建物などの固定資産を持っている人が毎年支払う税金です。
固定資産税は、市区町村が毎年1月1日時点の所有者を基に課税しています。

相続放棄と固定資産税の関係

相続放棄をすると、原則として固定資産税の支払い義務もなくなります。
これは、相続放棄によって「初めから相続人ではなかった」とみなされるためです。
しかし、相続放棄をした場合でも、固定資産税に関しては、いくつかの例外的なケースが存在します。

相続放棄後も固定資産税の請求がくるケース

相続放棄をしたにもかかわらず、固定資産税の請求が来るケースは、いくつかあります。
主なケースと、その理由を詳しく説明します。

相続放棄の時期と固定資産税の関係

相続放棄の手続きの完了時期によって、固定資産税の支払い義務が生じる場合があります。
具体的には、亡くなった方の死亡から年を跨いで相続放棄が完了した場合です。

固定資産税の課税台帳への登録

固定資産税は、毎年1月1日時点で、市区町村の固定資産税課税台帳に名前が登録されている人に課税されます。
そのため、相続放棄の手続きが年内に完了せず、翌年の1月1日時点で課税台帳に名前が登録されてしまった場合は、相続放棄をしたとしても、その年の固定資産税を支払う義務が発生してしまいます。

債権者代位登記による納税義務

亡くなった方に借金がある場合、債権者がその借金の回収を目的として、相続人に代わって不動産の所有権を移す登記(債権者代位登記)を行うことがあります。
債権者代位登記によって、相続放棄をした人でも固定資産税課税台帳に名前が登録されてしまい、固定資産税の支払い義務が発生してしまうケースがあります。

相続放棄後に固定資産税の請求が来たときの対処法

相続放棄をしたのに固定資産税の請求が来た場合、どのように対処すればいいのでしょうか?
具体的な対処法を3つ紹介します。

固定資産税を立て替えて事後求償

固定資産税の納税通知書が届いたら、まずは納税義務を果たす必要があります。
納税後、実際に不動産を相続した人に、立て替えた固定資産税を請求することができます。
これを「求償権」といいます。
しかし、相続人が複数いる場合や、相続人がいない場合は、求償権を行使するのが難しくなる場合があります。

不服申立てによる課税処分の取り消し

固定資産税の課税処分に不服がある場合は、市区町村長に対して不服申立てを行うことができます。
不服申立てでは、相続放棄が完了していることや、債権者代位登記が無効であることを主張することができます。
しかし、固定資産税は「台帳課税主義」が原則として採用されているため、不服申立てが認められるとは限りません。

固定資産税の還付請求

固定資産税を誤って納付してしまった場合は、市区町村に対して還付請求を行うことができます。
還付請求を行うためには、納付期限の翌日から5年以内、かつ、法律上の根拠が必要となります。
しかし、相続放棄をした場合でも、1月1日時点で課税台帳に登録されていた場合は、還付請求が認められない可能性があります。

相続放棄と固定資産税に関する注意点

相続放棄に関する注意点として、固定資産税を支払うことで相続放棄自体が無効になってしまう可能性があることを理解しておく必要があります。

相続財産から固定資産税を支払うことによる相続放棄の無効化

固定資産税は、相続財産の一部として考えられるため、相続財産から支払ってしまうと、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
相続放棄をしたい場合は、固定資産税の支払いは相続財産からではなく、自分の財産から行うようにしましょう。

不動産の名義変更による相続放棄の無効化

相続放棄をする前に、不動産の名義変更などの手続きを行うと、相続をしたものとみなされ、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
相続放棄を検討している場合は、不動産の名義変更などの手続きは行わないように注意してください。

熟慮期間経過による相続放棄の無効化

相続放棄には、相続の開始を知ってから3ヶ月以内に手続きを行うという期限があります。
この期限を過ぎてしまうと、相続を承認したとみなされて、相続放棄ができなくなってしまいます。
相続放棄を検討している場合は、期限内に手続きが完了するように、早めに準備を始めましょう。

相続放棄に関する専門家への相談

相続放棄は、法律知識が必要な手続きです。
相続放棄を検討している場合は、専門家に相談することをおすすめします。

弁護士への相談

弁護士は、法律の専門家です。
相続放棄に関する手続きだけでなく、相続財産の調査や相続税対策など、幅広い相談に対応することができます。

司法書士への相談

司法書士は、不動産登記の専門家です。
相続放棄の手続きや、不動産の名義変更などの手続きをサポートすることができます。

税理士への相談

税理士は、税金の専門家です。
相続税の申告や、相続による税金対策などについて相談することができます。

まとめ

相続放棄と固定資産税の関係は、複雑で、注意すべき点が多くあります。
相続放棄を検討している方や、すでに相続放棄をしたけど固定資産税の請求が来た方は、専門家に相談することをおすすめします。
専門家のアドバイスを受けることで、トラブルを回避し、スムーズに相続手続きを進めることができます。