中古住宅購入時の不動産取得税を徹底解説!計算方法から軽減制度まで
中古住宅を購入する際、気になるのが「不動産取得税」ですよね。新築住宅と違い、築年数や耐震基準など、さまざまな条件によって税額が大きく変わるため、事前にしっかり理解しておく必要があります。この記事では、中古住宅購入時にかかる不動産取得税について、計算方法から軽減制度、非課税になるケースまで詳しく解説していきます。不動産取得税の仕組みを理解することで、住宅購入にかかる費用を正確に把握し、賢く家探しを進めることができますよ!

不動産取得税とは?中古住宅購入時にかかる税金について

不動産取得税は、土地や家屋などの不動産を取得したときに発生する地方税です。中古住宅の購入だけでなく、売買、贈与、交換、建築(新築、増築、改築)など、不動産の所有権を取得した際に発生します。不動産取得税は、取得した不動産の価格に応じて課税されるため、購入を検討する際には、必ず事前に税額を計算し、予算に組み込んでおくようにしましょう。

不動産取得税の目的と概要

不動産取得税は、土地や家屋などの不動産を取得した人に対して、その取得の対価として課せられます。この税金は、都道府県が徴収し、主に地域のインフラ整備や公共事業などに活用されます。不動産取得税は、不動産を取得した日から60日以内に、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に申告する必要があります。申告を怠ると、延滞税が課せられてしまうので注意が必要です。

中古住宅購入で不動産取得税がかかるケース

中古住宅を購入した場合、不動産取得税は、以下のようなケースで発生します。

  • 売買による取得:一般的な中古住宅の購入
  • 贈与による取得:親族などから無償で贈与された場合
  • 交換による取得:所有している不動産と他の不動産を交換した場合

ただし、相続による取得や、特定の法令に基づく取得など、非課税となるケースもあります。これらのケースについては、後ほど詳しく解説します。

不動産取得税の納付義務者

不動産取得税の納付義務者は、不動産を取得した人です。つまり、中古住宅を購入した人、贈与を受けた人、交換により不動産を取得した人などが納付義務者となります。不動産取得税は、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所から納税通知書が送付されますので、そこに記載されている納期限までに納付する必要があります。

不動産取得税の申告期限

不動産取得税の申告期限は、不動産を取得した日から60日以内です。申告は、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所で行います。ただし、東京都では、取得した日から30日以内に登記を申請した場合には、原則として申告は不要となります。

不動産取得税の納付方法

不動産取得税の納付方法は、納税通知書に記載されています。一般的には、金融機関の窓口、コンビニエンスストア、郵便局、地方税ポータルサイトなどでの納付が可能です。近年では、スマートフォン決済アプリによる納付も可能になっている自治体が増えています。

中古住宅の不動産取得税の計算方法

不動産取得税の税額は、以下の計算式で算出されます。

課税標準額(固定資産税評価額)とは

不動産取得税の税額を計算する際には、取得した不動産の価格ではなく、固定資産税評価額が基準となります。固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて、各市町村が個別に決定した不動産の価格です。固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税の納税通知書に記載されています。もし、固定資産税の納税通知書がない場合は、市町村の税務課で閲覧することができます。

不動産取得税の税率

不動産取得税の税率は、取得した不動産の種類によって異なります。

  • 土地:3%(2027年3月31日までの取得)
  • 住宅:3%(2027年3月31日までの取得)
  • 住宅以外の建物:4%

ただし、2027年4月1日以降の取得については、税率が変更される可能性があります。最新情報は、国税庁や各都道府県の税務課のホームページで確認するようにしましょう。

不動産取得税の計算式

不動産取得税の税額は、以下の計算式で算出します。
不動産取得税額 = 課税標準額 × 税率

計算例:中古住宅の取得価格が2,000万円の場合

例えば、中古住宅の固定資産税評価額が1,500万円で、住宅部分の取得時期が2023年3月31日以前の場合、不動産取得税額は、以下のようになります。
不動産取得税額 = 1,500万円 × 3% = 45万円

土地と建物の取得税額の計算方法

中古住宅の取得では、土地と建物それぞれについて、不動産取得税が計算されます。

  • 建物の不動産取得税:建物の固定資産税評価額に税率を乗じます。ただし、一定の条件を満たす場合は、控除額が適用されることがあります。控除額については、後述する軽減制度で詳しく説明します。
  • 土地の不動産取得税:土地の固定資産税評価額に税率を乗じます。ただし、宅地や宅地比準土地の場合は、固定資産税評価額の2分の1が課税標準となります(2027年3月31日までの取得)。また、住宅用の土地については、一定の条件を満たす場合、減額措置が適用される場合があります。減額措置については、後述する軽減制度で詳しく説明します。

中古住宅取得時の不動産取得税の軽減制度

中古住宅の購入においては、一定の条件を満たす場合、不動産取得税の軽減措置が適用されることがあります。軽減措置を活用することで、税金を抑え、住宅購入の負担を軽減することができます。

中古住宅の取得に対する軽減措置

中古住宅の取得に対する主な軽減措置は以下の2つです。

  • 住宅の価格から控除される制度:一定の条件を満たす中古住宅を取得した場合、住宅の価格から一定額が控除されます。控除額は、住宅の新築年月日によって異なります。
  • 土地の税額から減額される制度:住宅用の土地を取得した場合、一定の条件を満たす場合は、土地の税額から一定額が減額されます。減額額は、土地の価格と住宅の床面積によって異なります。

軽減措置の適用要件

中古住宅取得時の軽減措置の適用要件は、住宅と土地それぞれ異なります。ここでは、主な要件を簡潔にまとめます。

中古住宅の軽減措置の適用要件

  • 取得者の居住用であること:自己の居住用、またはセカンドハウスとして取得する場合に適用されます。賃貸用としては適用されません。
  • 床面積が50㎡以上240㎡以下であること:住宅の床面積は、現況の床面積で判定します。マンション等の場合は、共用部分の床面積も含まれます。
  • 耐震基準を満たしていること:次のいずれかの要件を満たす必要があります。
  • 1982年1月1日以降に新築された住宅であること
  • 1981年12月31日以前に新築された住宅で、建築士等による耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされていること(ただし、証明に係る調査が取得日前2年以内に終了している必要があります。)
  • 新耐震基準に適合しない住宅で、取得後6か月以内に新耐震基準を満たすための耐震改修工事を行い、建築士等による耐震診断によって新耐震基準に適合していることの証明がされていること(ただし、取得後6か月以内に居住を開始する必要があります。)

中古住宅の取得に係る土地の軽減措置の適用要件

  • 上記の「中古住宅の軽減措置の適用要件」を満たす住宅の敷地であること
  • 土地を取得した日から1年以内にその土地上の建物を取得していること、または建物を取得した日から1年以内にその敷地を取得していること

軽減措置の申請方法

中古住宅の取得に係る不動産取得税の軽減措置を適用してもらうには、申告が必要です。申告は、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所で行います。申告には、以下の書類が必要です。

  • 不動産取得税減額適用申告書
  • 不動産取得税の納税通知書
  • 土地・住宅の売買契約書
  • 住宅の登記事項証明書(または登記簿謄本)
  • 耐震基準適合証明書など(必要に応じて)

申告期限は、不動産を取得した日から60日以内です。申告を忘れないように、早めに手続きを進めましょう。なお、申告書類は、各都道府県の税務課のホームページからダウンロードできます。

軽減措置のメリット

不動産取得税の軽減措置のメリットは以下のとおりです。

  • 税金の負担を軽減できる
  • 住宅購入にかかる費用を抑えられ、資金計画が立てやすくなる
  • 住宅購入のハードルが下がり、より多くの選択肢から物件を選べる

軽減措置の注意点

軽減措置には、いくつかの注意点があります。

  • 適用要件が複雑で、すべての物件が対象になるわけではない
  • 申告を忘れると軽減措置が受けられない
  • 申告期限内に手続きを完了させる必要がある

軽減措置の適用可否や手続き方法については、事前に都道府県税事務所に問い合わせて、しっかりと確認するようにしましょう。

不動産取得税が非課税になるケース

不動産取得税は、原則として不動産を取得した際に課税されますが、いくつかのケースでは非課税となります。非課税になるケースを理解することで、税金対策を立てることができます。

相続による不動産取得

相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税は非課税となります。これは、相続税がすでに課せられているため、二重課税を防ぐための措置です。ただし、遺贈によって相続人以外の人が不動産を取得した場合、または、死亡を原因とする無償の贈与(死因贈与)によって取得した場合には、不動産取得税が課税される場合があります。

贈与による不動産取得

贈与によって不動産を取得した場合、原則として不動産取得税が課税されます。ただし、贈与税において、相続時精算課税制度が適用された場合には、不動産取得税は非課税となる場合があります。相続時精算課税制度は、贈与税の課税方法を、相続の際にまとめて課税する方法に変更する制度です。この制度を選択した場合には、贈与時点で贈与税は課税されませんが、相続の際に、贈与された財産に対して相続税が課税されます。相続時精算課税制度の選択は、贈与を受ける方の判断となります。贈与税の申告の際に、相続時精算課税制度の適用を希望する旨を申告する必要があります。

不動産の価格が免税点未満の場合

取得した不動産の価格が、一定の金額(免税点)未満の場合は、不動産取得税が非課税となります。免税点は以下のとおりです。

  • 土地:10万円
  • 家屋(新築、増築、改築):23万円
  • 家屋(その他:売買など):12万円

ただし、次の場合は、その前後の取得をあわせて、一つの取得とみなして判断します。

  • 土地を取得した方が、その土地を取得した日から1年以内に、その土地に隣接する土地を取得した場合
  • 家屋を取得した方が、その家屋を取得した日から1年以内に、その家屋と一構となるべき家屋を取得した場合

その他非課税となるケース

相続や贈与、免税点以外に、不動産取得税が非課税となるケースは、いくつかあります。

  • 法人の合併や分割による取得
  • 公共の用に供する道路などの取得
  • 宗教法人が本来の用に供する不動産の取得
  • 学校法人が直接保育や教育の用に供する不動産の取得
  • 社会福祉法人などが福祉事業の用に供する不動産の取得

これらのケースでは、不動産取得税が課税されないため、事前に確認しておくとよいでしょう。

中古住宅購入時にかかるその他の税金

中古住宅購入時には、不動産取得税以外にも、いくつかの税金が発生する可能性があります。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記など、不動産に関する登記を行う際に発生する国税です。税率は、登記の種類によって異なります。中古住宅の購入では、所有権移転登記と抵当権設定登記が必要となります。登録免許税は、登記申請時に納付します。

印紙税

印紙税は、契約書などの文書に貼る印紙によって納付する国税です。中古住宅の購入では、売買契約書や住宅ローンの借入契約書などに印紙税が課されます。印紙税は、契約書の作成時に、契約金額に応じて納付します。

固定資産税

固定資産税は、毎年1月1日現在で、土地や建物を所有している人に対して課される市町村税です。固定資産税は、毎年4月頃に納税通知書が送付され、納税義務者は、そこに記載されている納期限までに納付する必要があります。固定資産税は、不動産の価格に応じて課税されるため、住宅購入を検討する際には、年間の固定資産税の負担も考慮しておくようにしましょう。

まとめ:中古住宅購入時の不動産取得税を理解しよう

中古住宅の購入には、不動産取得税など、さまざまな税金がかかります。この記事では、中古住宅購入時にかかる不動産取得税について、計算方法から軽減制度、非課税になるケースまで、詳しく解説しました。

不動産取得税は中古住宅購入にかかる重要な費用

不動産取得税は、中古住宅購入時にかかる重要な費用の一つです。税金は、物件の価格や築年数によって大きく変わります。事前にしっかりと計算し、予算に組み込んでおくようにしましょう。

軽減制度を活用して税金を抑えよう

中古住宅の取得には、さまざまな軽減制度が用意されています。これらの制度を活用することで、税金を抑え、住宅購入の負担を軽減することができます。軽減制度の適用要件や手続き方法については、事前に都道府県税事務所に問い合わせて、しっかりと確認するようにしましょう。

専門家への相談も有効

不動産取得税は、複雑な制度であり、自分自身で理解するのが難しいと感じる方もいるかもしれません。税金のことなど、不安な場合は、不動産会社や税理士などの専門家に相談してみましょう。専門家のアドバイスを受けることで、安心して中古住宅を購入することができます。