持ち家を購入したら、毎年支払う必要があるのが固定資産税です。固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している人が、その不動産の価値に応じて支払う税金です。
この記事では、固定資産税の基礎知識から計算方法、そして税金を安くする方法まで詳しく解説していきます。持ち家の固定資産税について知りたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
固定資産税とは?持ち家に住む人が必ず知っておくべき税金
固定資産税は、持ち家を所有している間は毎年支払う必要がある税金です。市町村が、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税します。固定資産税は、土地と建物それぞれに課税され、それぞれの税率をかけて算出した課税標準額の合計が、固定資産税となります。
固定資産税の基礎知識:対象となる資産や税率について
固定資産税は、土地、建物、償却資産という3つの固定資産に課税されます。
* 土地:宅地、田畑、山林、原野など
* 建物:住宅、店舗、工場、倉庫など
* 償却資産:パソコン、コピー機、工場の機械設備など
固定資産税の税率は、市町村によって異なりますが、多くの場合、1.4%が標準税率です。ただし、都市計画区域内にある土地や建物には、固定資産税に加えて都市計画税も課税されます。都市計画税の税率は、0.3%が上限です。
固定資産税の計算方法:土地と建物の評価額に基づいた計算
固定資産税の計算方法は、土地と建物で異なります。
* 土地の固定資産税:固定資産税評価額に1.4%を掛けます。固定資産税評価額は、土地の価値を基準に市区町村が算定します。目安として、土地の価格の7割程度になります。
* 建物の固定資産税:固定資産税評価額に1.4%を掛けます。固定資産税評価額は、建物の構造、床面積、築年数などを考慮して市区町村が算定します。目安として、建物の価格の5~6割程度になります。
固定資産税の支払い時期と方法:年4回に分けて納付、各種方法で支払いが可能
固定資産税は、毎年4月~6月頃に、市区町村から納税通知書と納付書が送付されます。納付期日は、自治体によって異なりますが、通常は6月、9月、12月、翌年の2月です。
固定資産税の支払い方法は、以下の通りです。
* 現金払い:金融機関、コンビニなど
* 口座振替:銀行口座から自動引き落とし
* クレジットカード払い:自治体のWebサイトやコンビニなど
* 電子マネー:自治体のWebサイトなど
* スマホ決済:自治体のWebサイトなど
持ち家の固定資産税を軽減できる制度とは?賢く節税する方法
固定資産税には、いくつかの軽減措置があります。これらの制度を活用することで、固定資産税の負担を減らすことができます。
住宅用地特例:土地の固定資産税を軽減する制度
住宅用地特例とは、住宅用の土地に対して固定資産税を軽減する制度です。住宅用地には、小規模住宅用地と一般住宅用地の2種類があります。
* 小規模住宅用地:住宅用地で、1戸につき200平方メートル以下の部分
* 一般住宅用地:住宅用地で、200平方メートルを超える部分
住宅用地特例では、それぞれの土地の固定資産税評価額を以下のように減額します。
* 小規模住宅用地:固定資産税評価額の1/6
* 一般住宅用地:固定資産税評価額の1/3
新築住宅の減額措置:新築住宅の固定資産税を軽減する制度
新築住宅の減額措置とは、新築住宅に対して固定資産税を軽減する制度です。この制度では、新築住宅の固定資産税評価額を一定期間減額します。
2024年3月31日までに新築された住宅が対象です。減額期間は、戸建て住宅で3年、マンションで5年です。また、長期優良住宅に認定された場合は、減額期間がそれぞれ2年延長されます。
長期優良住宅の特例:認定を受けた住宅の固定資産税を軽減する制度
長期優良住宅とは、国が定めた基準を満たした住宅のことです。長期優良住宅は、耐震性、耐久性、省エネ性、維持管理の容易性、バリアフリー性などの基準を満たす必要があります。
長期優良住宅の認定を受けると、固定資産税の軽減措置の適用期間が2年延長されます。
固定資産税が高くなるケースと注意点:知っておきたい落とし穴
固定資産税は、一般的には築年数が経過するにつれて減額されていきます。しかし、いくつかのケースでは、逆に税金が高くなることもあります。
空き家放置による固定資産税の増加:放置すると税金が上がる可能性
空き家を放置すると、固定資産税が上がる可能性があります。空き家が放置されると、倒壊などの危険性や、周辺環境の悪化などの問題が発生することがあります。そのため、自治体は、放置された空き家を「特定空き家」として指定し、所有者に対して適切な管理を求める場合があります。
特定空き家に指定されると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が大幅に高くなる可能性があります。
家屋の取り壊しによる固定資産税の増加:取り壊し時期によっては税金が上がる可能性
家屋を取り壊すと、固定資産税が高くなる可能性があります。家屋が建っている土地は、住宅用地として固定資産税が軽減されています。そのため、家屋を取り壊して更地になると、軽減措置が受けられなくなり、土地本来の評価額に基づいて固定資産税が課税されます。
家屋調査への協力が重要:調査を拒否すると評価額が高くなる可能性
家屋調査とは、市区町村が固定資産税の評価額を算定するために、新しく家を建てたり、増改築した場合に行う調査です。調査員が実際に住宅に立ち入り、建物の構造や設備などを確認します。家屋調査に協力しないと、正確な評価ができずに固定資産税が高くなる可能性があります。
持ち家の固定資産税シミュレーション:具体的な金額を計算してみよう
固定資産税は、地域や建物の構造、築年数などによって大きく異なります。ここでは、戸建て住宅とマンションの固定資産税をシミュレーションして、具体的な金額を見ていきましょう。
戸建て住宅の固定資産税シミュレーション:土地と建物の評価額を参考に計算
土地の固定資産税評価額:2,000万円
建物の固定資産税評価額:2,500万円
土地面積:120平方メートル
建物面積:80平方メートル
新築の場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.67万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 1/2 × 1.4% = 17.5万円
* 合計:22.17万円
築6年の場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.67万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 0.62 × 1.4% = 21.7万円
* 合計:26.37万円
築10年の場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.67万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 0.5 × 1.4% = 17.5万円
* 合計:22.17万円
築27年の場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.67万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 0.2 × 1.4% = 7万円
* 合計:11.67万円
マンションの固定資産税シミュレーション:土地と建物の評価額を参考に計算
土地の固定資産税評価額:1,500万円
建物の固定資産税評価額:3,000万円
土地面積:80平方メートル
建物面積:80平方メートル
新築の場合
* 土地の固定資産税:1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 3.5万円
* 建物の固定資産税:3,000万円 × 1/2 × 1.4% = 21万円
* 合計:24.5万円
築6年の場合
* 土地の固定資産税:1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 3.5万円
* 建物の固定資産税:3,000万円 × 0.8335 × 1.4% = 35万円
* 合計:38.5万円
築10年の場合
* 土地の固定資産税:1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 3.5万円
* 建物の固定資産税:3,000万円 × 0.7397 × 1.4% = 31.1万円
* 合計:34.6万円
築27年の場合
* 土地の固定資産税:1,500万円 × 1/6 × 1.4% = 3.5万円
* 建物の固定資産税:3,000万円 × 0.3596 × 1.4% = 15.1万円
* 合計:18.6万円
固定資産税の軽減措置を適用したシミュレーション:軽減措置による税額の変化を確認
ここでは、戸建て住宅の固定資産税のシミュレーションで、新築の場合に住宅用地特例と新築住宅の減額措置を適用した場合の固定資産税額を計算してみます。
土地の固定資産税評価額:2,000万円
建物の固定資産税評価額:2,500万円
土地面積:120平方メートル
建物面積:80平方メートル
軽減措置なしの場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1.4% = 28万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 1.4% = 35万円
* 合計:63万円
軽減措置ありの場合
* 土地の固定資産税:2,000万円 × 1/6 × 1.4% = 4.67万円
* 建物の固定資産税:2,500万円 × 1/2 × 1.4% = 17.5万円
* 合計:22.17万円
このように、軽減措置を適用することで、固定資産税が大幅に減額されることがわかります。
固定資産税に関するよくある質問:疑問を解消
固定資産税について、よくある質問とその回答をまとめました。
固定資産税はいつ支払うのか?
固定資産税は、毎年4月~6月頃に市区町村から納税通知書と納付書が送付され、通常は6月、9月、12月、翌年の2月の4回に分けて支払います。
固定資産税を滞納するとどうなるのか?
固定資産税を滞納すると、延滞金が加算されます。延滞金の利率は、1か月以内は年率2.4%、1か月を超えると年率8.7%になります。さらに、滞納が続くと、財産の差し押さえや公売などの措置が取られる可能性があります。
固定資産税の申告は必要なのか?
土地や建物などの固定資産については、申告は不要です。市区町村が毎年1月1日時点の固定資産の所有者に対して、固定資産税を課税します。
まとめ
この記事では、持ち家の固定資産税について解説しました。固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している人が、毎年支払う必要がある税金です。固定資産税の仕組みや計算方法、軽減措置などを理解しておくことで、税金の負担を軽減することができます。
固定資産税は、持ち家の維持費として重要な項目です。この記事を参考に、固定資産税について理解を深め、賢く家計管理をしましょう。