不動産競売リスク01このページはWEB広告を利用しています

こんにちは、管理人のサトウです。

このページでは、不動産の競売物件にひそむリスクについてまとめてあります。

競売物件は、通常の中古物件と比較して安く購入できることから、最近では不動産関係者以外でも興味を持つ一般の購入者が増えています。

しかし競売物件は、安く購入できる反面、様々なリスクがあり、トラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。不動産競売に申し込む前に、予め考えられるリスクについて知り、把握しておくことが大切です。
 
競売物件の購入を検討されている方は是非一読してみて下さい。

競売物件とは?

不動産競売リスク02

戸建やマンションなどの不動産を購入する際、現金一括で購入できる人は少数派です。多くの方は、購入する不動産を担保として金融機関からお金を借りて住宅ローンを組みます。

お金を貸す金融機関は、この担保に抵当権を設定し、お金を貸します。

抵当権とは、“お金を貸した人からのローン支払いが滞ってしまった場合、担保を金融機関(債権者)が差し押さえ、売却し、債権を回収する権利”のことです。

 

住宅ローンは20年や30年という長い期間で返済の計画を立てます。しかし、この長い年月の間に事情が変わり、返済が出来なくなってしまうケースは少なくありません。

融資した住宅ローンの返済が滞り、返済される見込みがないと判断した場合、債権者は裁判所へ申し立て、裁判所が申立を認めれば、裁判所の管轄の下、入札形式によって不動産が売却されます。これが「競売」です。

債権者は、競売によって得られた売却金額を回収します。

 

こうして住宅ローンが支払えなくなり、債権者が債権回収目的で売却される物件のことを「競売物件」と呼びます。

不動産競売の対象となった物件は、裁判所から依頼された不動産鑑定士が査定を行い、算出した評価額の5~7割の金額を「売却基準価格(入札価格)」とし、購入希望者を募ります。このため市場相場と比べて格安で購入することが可能と言われており、競売物件に興味を持つ方も増えています。

不動産の競売物件にひそむ8つのリスク

不動産競売リスク03

競売物件は、市場価格の5~7割程度の価格で落札されることが多いです。

なぜなら、通常の中古物件購入と比較し、競売物件にはリスクがあり、このリスクを考慮し、その分を市場価格から減額するため、安くなるのです。

競売物件にはどのようなリスクがあるのか、しっかりと確認していきましょう。

リスク1:競売物件に関する調査は自力でおこなう

不動産競売への参加を考えた時、まず最初に行なわなければならないのが「物件調査」です。

どこの地域に希望に見合う競売物件があるのかから始まり、気になった競売物件の立地や間取り、物件の状態などを調べる必要があります。

通常の中古不動産物件を購入するのであれば、不動産会社に仲介を依頼すれば、希望に見合う物件の詳細な情報をはじめ、不具合箇所も含めた情報を入手することが可能です。また最近では、インターネットを利用して検索すれば、物件についての情報がある程度知ることが出来ます。

しかし、競売物件の場合は、裁判所が主導して行なうので情報は裁判所から提供される以外にはありません。

そのため、購入希望する地域を管轄している裁判所へ出向き、閲覧して情報を入手することになります。各物件情報の詳細は、3点セットと呼ばれる書類から読み取ることができます。

 

≪3点セット≫

  • 「現況調査報告書」
  • 「評価書」
  • 「物件明細書」

 

これらの書類は執行官などによる現地調査に基づき作成されますが、調査時と現況では内容が異なっていることもあり、正確であるとは限りませんので、本人による現地確認は必須です。

しかし、競売物件には所有者が居住しているため内覧することはまずできません。そのため、落札後に初めて室内に入り、様々な問題を発見するということも多いです。

例えば、予想以上に傷んでいるとうことは大変多く、見積以上の修繕費がかかるといったリスクがあります。

また、競売物件について一般に公告がされるタイミングは、期間入札の開始日約2週間前となりますので、物件調査ができる期間としては、約1~2週間しかありません。

高額な買い物となる不動産物件にも関わらず、不動産の素人である一般の方がわずか2週間足らずで、調べて購入判断しなければならないのは大きなリスクとなります。

 

現在ではインターネットを通しても調べることができますが、サイトの数は限られます。裁判所が運営する「BIT」と、不動産競売流通協会が運営する「981.jp」です。

こちらのサイトからも3点セットをダウンロードすることができます。

 

競売物件の物件情報の入手方法や3点セットの詳細については、別記事にて詳細を記載していますので、一読してみて下さい。

リスク2:瑕疵担保責任がない

通常の中古の不動産売買では、売主に「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」が課せられます。

売却後、物件に重大な欠陥(瑕疵:かし)が確認された場合、売主は、売買契約に定められた期間内に、改善や修復を行う責任があるというものです。

重大な欠陥の一例としては、構造に関する欠陥(傾きなど)、給排水管設備の不具合、雨漏り、シロアリ被害などがありますが、これらの欠陥は、数時間程度の内見では、購入希望者が発見することは難しいです。

そのため、売主が、これらの欠陥があることを報告せずに売却しないようにするため、売主に「瑕疵担保責任」を負わせ、買主を保護する法律となっています。

 

しかし、競売物件には売主が存在しないため、これが該当せず、落札後に重大な瑕疵が見つかったとしても、全ては落札者の自己責任となり、修繕費などは全て自己負担となります。

しかも競売物件の場合、事前に内覧することもできないことが多く、落札後に室内を確認してみたら、「ごみが大量に放置されていた」、「壁や床に穴が空けられていた」、「異臭がした」ということも少なくありません。

このように、落札代金以外のところで、余分な手間と費用がかかるリスクがあります。

リスク3:事故物件であっても、その情報がない

事故物件」って聞いたことあるかと思います。自殺や孤独死、刑事事件などの履歴がある物件のことです。

通常の中古物件の場合、仲介する不動産会社に対し、明確な告知義務はありませんが、2年以内の事故物件には告知しなければならないといった暗黙のルールがあります。

売却後、事故物件だということが判明した場合、それも2年以内の場合は「心理的な瑕疵」とみなされ、売買契約を白紙に戻すといったケースは少なくありません。

心理的な瑕疵とは、“事故物件だと契約前に分かっていたら、契約(購入)しなかった。”という買主の心理を尊重したものです。

 

しかし、競売の場合、裁判所の執行官などによる現況調査を基に作成される3点セットの資料には、事故物件について記載されないこともあります。しかも執行官の調査後に何等かな事故が起きた場合も、調査書には記載されることはありません。

そのため、事故物件かどうかは、全て落札希望者が、周囲に聞いたり、事件の有無を調べる必要があります。

もし、落札後に事故物件だと判明した場合、代金納付前であれば「売却許可決定取り消し」の申し立てをすることができ、納付した保証金が戻ってきます。しかし、一旦代金を納入してしまうと取り消しはできず、納付した金銭は返ってきません。

リスク4:競売物件の代金は一括払いが基本

不動産競売リスク04

競売物件を落札した場合、落札代金の支払は、「一括払い」となります。

最近では法律が改正され、競売物件に対して住宅ローン融資をしてくれる金融機関が増えてきました。これにより、自己資金が十分にない場合でも、住宅ローンを利用して支払うことが可能となってきています。

しかし、金融機関によって対応が異なるため、競売物件のための住宅ローンについては、早い段階で、金融機関に相談することが大変重要です。さらに個人がいきなり競売物件購入のための住宅ローンを融資して欲しいと、金融機関のドアを叩いても、対応してくれないというケースが多いです。

 

自己資金が十分になく、住宅ローンも利用できない場合には、競売に参加することはできません。

このような場合には、競売物件を扱う専門業者に依頼し、協力を得ることも1つの方法となります。

 

競売物件の住宅ローンについては、別記事にて詳細を記載していますので、一読してみて下さい。

リスク5:占有の問題

競売物件の場合、落札されると、元の所有者の元には、「引き渡し命令」という通知が裁判所から届き、指定された期日までに強制退去となります。

しかし、元の所有者が引き渡しに応じず、退去せず、「占有」してしまうケースは少なくありません。

なぜなら、元の所有者は、経済的に困窮しているため、引っ越し費用が捻出できないからです。

落札者は、退去してもらうよう手間と時間をかけて交渉していかなければなりません。どうしても状況が進まない時には、「自費」で引っ越し費用を捻出して退去してもらうことなります。

リスク6:落札後の物件引き渡し

不動産競売リスク05

通常の中古物件における不動産売買では、通常は不動産会社が間に入っていますので、鍵の引き渡しや鍵の交換などの面倒をみてくれます。

しかし、競売の場合、主導した裁判所が間に入って、カギを渡してくれるということはありませんので、落札者が元の所有者の手から直接引き渡しを受けることになります。

また競売物件の中には、空き家のケースもあります。空き家や空き室となっている場合、そのカギは誰も持っていませんので、専門の開錠業者に依頼して物件のカギを開けてもらう必要があります。この解錠費用は落札者の負担となります。

そしてカギの交換作業を行うことになりますが、その交換費用ももちろん落札者の負担です。

リスク7:落札できない場合の費用は自己負担

不動産競売は、ご存知の通り、一番高い金額で入札した人が落札することができます。つまり、開札が行われるまで落札できたかどうかはわからず、落札できない可能性もあります。

特に最近では、競売物件の人気が高まり入札者の数が増えているため、条件の良い物件については、数十もの入札が入ることもあります。

落札できなかった時には、支払った保証金は返ってきますが、それまでに行った物件調査、現地調査などにかけた費用は無駄になってしまいます。

特に、競売物件の専門業者に依頼した場合は、数十万円の費用が無駄になります。

リスク8:分譲マンション物件は滞納金に注意

不動産競売は、戸建てだけでなく、分譲マンションの場合もあります。戸建と異なり、分譲マンションの場合、「管理費」、「修繕積立費」などを定期的に管理会社等に支払っています。

この分譲マンションが競売になっている場合、住宅ローンだけでなく、管理費や修繕積立費なども滞納しているケースがほとんどです。

このような競売物件の場合、滞納となっている費用の支払は、全て落札者の負担となります。

滞納の有無については、3点セットに記載されていることもありますので、しっかりと調べる必要があります。もし滞納があるまたはわからない場合には、入札額を決める際、滞納分の負担を想定することも大切です。

まとめ

不動産の競売物件にひそむリスクについて紹介しました。

競売物件にはリスクがあり、入札から落札後における全てが自己責任となります。

市場相場よりも安く購入できる点が魅力の不動産競売ですが、物件によってはメリットを上回るほどのリスクが存在することを把握しておかなければなりません。

競売物件を購入にひそむリスクをしっかりと確認し、リスクを承知の上で、購入検討を行ってください。

 

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