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こんにちは、管理人のサトウです。
住宅を購入するにあたり、親からの資金援助がもらえれば、住宅ローンの借入額を減らすことができ、家計への負担が大きく減少します。
親から援助をもらう方法として、大きく下記の3つの方法がありますが、それぞれ気を付けなければならないことがあります。
- 親から贈与を受ける
- 親から借り入れる
- 親に住宅の一部を直接購入してもらう
今回は、住宅ローンで親から子供が援助を受ける時に気を付けることについて、詳しく解説します。
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親から贈与を受ける時に気を付けること
親から住宅資金の贈与を受ける方法として、普通の贈与のほか、「住宅取得等資金の非課税制度」、「相続時精算課税制度」という、一定の金額まで贈与税が非課税になる2つの方法があります。
普通の贈与を受ける場合
贈与を受けると贈与税はどのくらいかかる?
普通の贈与を受ける場合、贈与税は1年間(1月1日~12月31日)にもらった贈与財産価額の合計から算出します(暦年課税)。
ただし、贈与税には「基礎控除額110万円」があるため、1年間で合計110万円までの贈与なら非課税となります。
1年で110万円以上の贈与を受けた場合は、110万円を超えた部分に納税義務が生じるため、翌年の2月1日~3月15日の間に税務署へ申告して贈与税を納税しなければなりません。
20歳以上の者が直系尊属(実の父母や祖父母など)から贈与を受けた場合、贈与税率は特別税率として下記のとおりとなります。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | – |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
(データの引用元:国税庁「No.4408?贈与税の計算と税率(暦年課税)」)
例えば、住宅購入用に親から500万円の贈与を受けた場合、贈与税額の計算式は下記のとおりとなります。
- 基礎控除後の課税価格 × 贈与税率 - 控除額 = 贈与税額
(500万円 - 110万円)× 15% - 10万円 = 48.5万円
つまり、500万円の贈与を受けた場合、普通の贈与だと「48万5千円」の贈与税を支払わなければならないのです。
普通の贈与で気を付けること
1年間で110万円までの贈与であれば、税務署への申告義務も納税義務も生じないため、特に気を付けることはありません。
1年間で110万円以上の贈与を受ける場合は、「税務署への申告義務」と、「贈与税の納税義務」が生じます。
贈与金額が大きくなるほど贈与税率はどんどん高くなりますので、贈与金額が大きい場合は、これから説明する2つの制度を上手く使って贈与税を節約しましょう。
住宅取得等資金の非課税制度を使う場合
住宅取得等資金の非課税制度とは?
「住宅取得等資金の非課税制度」とは、平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与により住宅用の資金援助を受けた場合、一定の非課税限度額まで贈与税が非課税となる制度のことです。
具体的な非課税限度額は下記のとおりです。
■消費税率10%以外の住宅を取得する場合
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅(※) | 一般住宅 |
平成28年1月1日~平成32年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
平成32年4月1日~平成33年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
平成33年4月1日~平成33年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
■消費税率10%の住宅を取得する場合
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅(※) | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~平成32年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
平成32年4月1日~平成33年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成33年4月1日~平成33年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
(引用元:国税庁「No.4508?直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」)
- 断熱等性能等級4もしくは一次エネルギー消費量等級4以上
- 耐震等級2以上もしくは免震建築物
- 高齢者等配慮対策等級3以上
この限度額は“贈与を受け取る人1人に対する限度額”です。
例えば、限度額が1,200万円で贈与者が複数いる場合には、複数から受けた贈与を合計した金額のうち1,200万円までが非課税となります。贈与者ごとに1,200万円が非課税となるわけではないことに注意しましょう。
なお、この制度は暦年課税(1年間で110万円まで非課税)と併用することができるため、限度額が1,200万円の場合、実際には「1,200万円+110万円=1,310万円」までが非課税です。
住宅取得等資金の非課税制度を使うための要件
この制度を使うためには、まず下記の要件を全て満たしている必要があります。
受贈者要件 |
|
家屋の新築、取得又は増改築等の要件 |
|
住宅取得等資金の非課税制度を使うための手続き
非課税制度を使うために必要な手続きは下記のとおりです。
手続き期間 | 贈与を受けた年の翌年2月1日から 3月15日までの間 |
必要な書類 | 非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書、 戸籍謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど |
提出先 | 納税地の所轄税務署 |
住宅取得等資金の非課税制度で気を付けること
まずは要件を全て満たしているかどうか確認しましょう。
特に下記の3つの要件は分かりにくいので気を付けましょう。
- ①「直系尊属」からの贈与限定です。配偶者の親からの贈与は適用対象外です。
- ②「居住用家屋の新築若しくは取得又は増改築等」のための金銭の贈与限定です。
ローン返済や家計のために金銭を使った場合は適用対象外です。 - ③贈与の翌年3月15日までに家屋に居住(又は居住の確実な見込み)が必要です。
工事の遅れ等で翌年3月15日に居住が間に合わないと適用対象外となります。
また、この非課税制度を使うためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に必ず贈与税の申告手続きをしなければなりません。贈与額が非課税の範囲内だったとしても、必ず期限内に手続きが必要です。
申告期限から1日でも手続きが遅れると、どんな理由があっても絶対に非課税にならなくなってしまうため、注意しましょう。
相続時精算課税制度を使う場合
相続時精算課税制度とは?
「相続時精算課税制度」を使うと、父母または祖父母から贈与を受けた場合に、贈与の時点では2,500万円まで非課税(2,500万円を超えた分には一律20%の税金)となります。
そして、贈与者が亡くなって相続する時点で、生前贈与した金額も含めて相続税が課税されるという制度です。
相続時精算課税制度を使うための要件
この制度を使うための要件は下記のとおりです。
相続時精算課税制度の要件 |
|
相続時精算課税制度は、贈与財産の種類や金額、用途、贈与回数に対する制限がありません。
従って、贈与者が亡くなるまで何回贈与を受けても、合計2,500万円までは贈与税が非課税となります。
相続時精算課税制度を使うための手続き
相続時精算課税制度を使うために必要な手続きは下記のとおりです。
手続き期間 | 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間 |
必要な書類 | 相続時精算課税選択届出書出書、戸籍謄本など |
提出先 | 納税地の所轄税務署 |
相続時精算課税制度で気を付けること
相続時精算課税は、受贈者が贈与者(父母または祖父母)ごとに選択できます。
そして、この制度で最も気を付けることは、“一度この制度を選択すると、その贈与者が亡くなる時まで継続して適用され、暦年課税に戻すことはできない”という点にあります。
つまり、相続時精算課税制度を使うと合計2,500万円までは贈与税が非課税となりますが、二度と110万円の非課税枠を使うことができなくなってしまうため、最終的に相続税で支払う税金が増える可能性があるのです。
また、110万円の非課税枠が使えないため、どんなに少額(110万円以下)の贈与であっても、贈与を受けたら贈与税の申告を必ずしなければならなくなります。
ただし、相続税には「3,000万円 +(相続人の人数 × 600万円)」の基礎控除があり、残された財産がこの基礎控除額を下回れば、相続税は一切不要です。このようなケースであれば、相続時精算課税制度を使うメリットが大きいと言えます。
親から借り入れる時に気を付けること
親から援助をもらう方法として、「資金をもらう(贈与)」以外に「資金を借り入れる(借用)」という方法があります。
銀行からお金を借りる場合は手数料がかかりますが、親子間であれば手数料は一切不要です。さらに、金利や返済期間も親子で相談して自由に設定することができるといったメリットがあります。
ただし、親子間であるからこそ、きちんと下記のような借用手続きをしておき、税務署に贈与とみなされて贈与税が課税されないように注意が必要です。
親から借り入れる時の借用手続き |
|
親子など家族間の借入れでは、必ず返済方法どおりきちんと返済することが大切です。銀行振り込みなど、確実に返済履歴が残るような返済方法にしましょう。
また、確定日付印を押してもらうためには手数料700円がかかりますが、確定日付印があれば、税務署から「この借用書はあとから節税のために作ったのではないか?」と言われた場合でも「そんなことはない」ということを証明できます。
公証役場に事前連絡して予約をとり、当日公証役場に出向けば10分ほどで手続きできますので、確定日付印も押してもらうようにしましょう。
親に住宅の一部を直接購入してもらうときに気を付けること
親から援助をもらう方法として、贈与や借用のように自己資金を増やすのではなく、「親に住宅の一部を直接購入してもらう」といった方法もあります。
この場合、住宅は“親との共同名義”となり、実際にそれぞれが負担した資金の割合に応じて、住宅の登記を設定する必要があります。
この方法は贈与でも借用でもないため、贈与税申告等の手続きや、借用書の作成等の手続きが一切不要というメリットがあります。
ただし、相続が発生した時点で“親の持分が相続税の対象となる”ということに注意が必要です。
相続人が自分一人だけであれば問題はありませんが、例えば兄弟など相続人が複数いる場合、共有名義人として親が所有していた住宅の権利が“遺産分割の対象”となり、相続の手続きがややこしくなってしまうのです。
従って、住宅を親との共同名義にする場合は、相続時に問題とならないよう、誰が相続するのかを予め相続人同士で協議しておくようにしましょう。
まとめ
今回は、住宅ローンで親から子供が援助をもらうときに気を付けることについて説明しました。
親から贈与を受ける場合、1年間で110万円までの贈与であれば、税務署への申告義務も納税義務も生じないため、特に気を付けることはありません。
1年間で110万円以上の贈与を受ける場合、普通の贈与では贈与税がかなり高くなる恐れがあります。「住宅取得等資金の非課税制度」や「相続時精算課税制度」を上手く使って贈与税を節約しましょう。
「住宅取得等資金の非課税制度」を使うためには色々な要件がありますので、全て要件を満たしているかどうか確認しましょう。
また、この制度を使うためには、必ず期限内に贈与税の申告手続きをしなければなりません。申告期限から1日でも手続きが遅れると、どんな理由があっても絶対に非課税にならなくなってしまうため、注意しましょう。
「相続時精算課税制度」を使うと、贈与者が亡くなるまで何回贈与を受けても、合計2,500万円までは贈与税が非課税となります。ただし、一度この制度を選択すると暦年課税に戻すことはできません。
つまり、「相続時精算課税制度」を使うと二度と110万円の非課税枠を使えなくなり、最終的に相続税で支払う税金が増える可能性があります。また、どんなに少額(110万円以下)の贈与であっても、贈与を受けたら贈与税の申告を必ずしなければならないことに注意しましょう。
親から借り入れる場合には、きちんと借用手続きをしておき、税務署に贈与とみなされて贈与税が課税されないように注意しましょう。
親に住宅の一部を直接購入してもらって住宅を“親との共同名義”にする場合は、相続が発生した時点で“親の持分が相続税の対象となる”ということに注意し、誰が相続するのかを予め相続人同士で協議しておくようにしましょう。
今回のまとめは以上です。
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