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こんにちは、管理人のサトウです。
このページでは、不動産売却時の手付金の必要性と相場、そして注意点についてまとめてあります。
不動産売買において、契約締結時に、買主から売主へと「手付金」が支払われることが一般的です。しかし、手付金に関しては、法律上、『いくら支払うこと』といった明確な決まり事がなく、それぞれの契約毎に異なります。
不動産売買は人生の中で何度も経験することはありませんので、この手付金はなぜ必要なのか、相場はいくらくらいなのかなど、よく分からないという方も多いかと思います。
戸建てやマンション、土地などの不動産売却を検討中の方で、手付金について確認してみたい方は是非一読してみて下さい。
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不動産売却時の手付金はなぜ必要?
戸建てやマンションなどの不動産売買契約時、売主と買主との間で売買契約書を交わします。その際、買主が『この不動産を購入します』という証拠として、買主から売主へ「手付金」が支払われることが慣例になっています。
売主が買主から受け取る売却代金の流れとしては、契約締結時に手付金(売却代金の一部)を受け取り、物件の引き渡し時に売却代金の残金の受け取り とするのが一般的です。
この手付金の必要性について説明します。
手付金はなぜ必要?
不動産売買する際、不動産会社に仲介に入ってもらい、売主と買主の間で売買契約書を交わします。
『正式に売買契約を結んだのだから、決済時(引き渡し時)に売却代金をまとめて受け取ればいいのではないか』、と考える方もいるかと思います。
しかし、不動産売買契約を締結したにも関わらず、『もっと条件の良い物件はないかな…』と物件を探し続ける買主は意外にいます。そのため、売買契約書を取り交わしてから決済時までの間に、
- より良い条件の物件が見つかった
- 気が変わった
- 住宅ローンが組めない
- etc
といった理由により、買主から『契約をキャンセルし、白紙に戻したい・・・』ということは、意外に多くあり、買主が確実に売買契約を履行するとは限らないのです。
不動産の売却は、時間や手間を要するものです。
せっかく買主が見つかり、契約に辿り着いたにも関わらず、簡単にキャンセルされてしまうのでは、売主としては大きな痛手となり、納得できるものではありません。
このような状況になるのを回避するために利用されるのが、「手付金」です。
手付金は、不動産を購入する際の「頭金」や「内金」として、契約時に受け取っておき、万が一契約をキャンセルとなってしまう場合には、その頭金を「違約金(キャンセル料)」として没収するといったペナルティ的な役割を担っています。
手付金を事前に支払ってもらうことにより、買主が簡単にキャンセルできないような効力が働くことになります。
不動産売却時の手付金の相場は?
次に手付金の相場はいくらくらいなのかについて説明します。
売主が不動産会社の場合は、宅建業法で売却代金の20%以内と定められています。しかし、個人の場合であれば、手付金の金額は特に定められていませんので、売主が自由に決めることができます。
手付金の金額は0円でも、売却価格の半分でも、自由に決めることができるのですが、手付金の相場としては、次のような金額が一般的です。
- 不動産売却価格の5~10%
- 100万円
「不動産売却価格の5~10%」というのが不動産業界の実務上の手付金の相場だと言われています。手付金の金額を簡単な表としてまとめましたので参考にしてみて下さい。
不動産の売却価格 | 手付金(5%) | 手付金(10%) |
---|---|---|
1,000万円 |
50万円
|
100万円
|
2,000万円 |
100万円
|
200万円
|
3,000万円 |
150万円
|
300万円
|
4,000万円 |
200万円
|
400万円
|
5,000万円 |
250万円
|
500万円
|
1億円 |
500万円
|
1,000万円
|
ですが、不動産は高額取引となるケースも多く、10%となるとかなりの高額となります。
例えば、不動産売却価格が3,000万円の場合、手付金がその10%だとすると、金額は300万円となります。手付金は「現金」で支払うことが一般的であるため、現金で300万円を準備するとなると、買主にとってはかなりの負担となり、現実的ではありません。
そのため、手付金としては、高過ぎず安過ぎず、そしてキャンセル料としても妥当ではないかという金額がいつしか導き出されるようになり、「100万円」という金額がその指標となり、設定されるケースが多いです。
不動産売却における手付金の注意点
次に、手付金に関する注意点について説明する前に、手付金の役割(性質)について簡単に説明します。
手付金の役割
手付金は、購入する際の「証拠金」、契約を白紙に戻す際の「キャンセル料」としての役割があると先に説明しました。
不動産売買における手付金には以下の3つの役割(性質)があります。
- 証約手付
- 解約手付
- 違約手付
それぞれの内容について簡単に説明します。
証約手付
「証約」とは、契約が成立した証という意味です。
証約手付とは、買主が『この不動産を購入します』という意思を示し、不動産売買契約が成立したことの証拠として授受される手付金としての役割があります。
解約手付
解約手付とは、不動産売買契約成立後、契約履行に着手するまでは、不動産売買契約の解除を認める「契約キャンセル料」として授受される手付金としての役割があります。
この解除は手付解除と呼ばれ、【民法第557条の1項】にて定められています。
1.買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
違約手付
違約手付とは、不動産売買契約を交わした当事者が、債務を果たさないこと(債務不履行)によって、相手に損害を与えた場合、損害賠償とは別にペナルティとして没収される手付金となります。
例えば、買主側の債務不履行によって、売買契約が解除になった場合、その手付金は違約金として、売主に没収されます。
一方、売主側の債務不履行による解除の場合は、手付金を買主に返却するだけでなく、手付金と同額の金銭を違約金として買主に支払う必要があります。
次に、不動産売却における手付金の注意点について説明します。
注意点は以下の4つです。
- 手付金は適切な金額に設定すること
- 手付金は現金で受け取ること
- 手付金の解除期日が妥当であること
- 買主が住宅ローン審査落ちした場合、手付金は返却すること
【注意点1】 手付金は適切な金額に設定すること
手付金は、契約を白紙に戻す際の「キャンセル料」としての役割があり、相場としては売却金額の5~10%もしくは100万円とすることが一般的であることを、先に解説しました。
手付金の金額は、法律上で決まっているわけではないので、相場に拘らず、売主が自由に決めることが可能です。
しかし、手付金が安すぎると、買主側としてはキャンセルしやすくなっていまい、契約としての効力を弱めることになります。
反対に高すぎると、買主が現金で準備することができなくなってしまい、不動産売買契約そのものが成立しにくくなってしまうだけでなく、万が一売主側の事情により契約解除となる場合には、手付金の倍額を売主に支払うことになりますので、あまり高額なのもよくありません。
そのため、『売主が契約して現金を準備することが可能であり、かつ簡単には契約を白紙にできない』程度の金額に設定することが重要となります。
例えば、売却代金が2,000万円を超えるようであれば、手付金としては100万円とし、それ以下の場合は、5~10%の間で、上限が100万円となるように設定すると良いでしょう。
ただし、仲介を依頼した不動産会社によっては、あらかじめ設定されていることもあります。その場合は、不動産会社の規定に従うか、不動産会社と相談して、決めることをおすすめします。
【注意点2】 手付金は現金で受け取ること
手付金は、不動産売買契約の締結直後に、買主から「現金」にて受け取ることが不動産取引の慣例となっています。
しかし、多額の現金を持ち歩きたくないといった理由などで、買主から「振り込み」でお願いできないかと打診を受けることもあります。
振り込みの場合、契約時間にもよりますが、お金を受け取れるのは、契約日の翌日もしくは翌々日以降となってしまいます。そうなると、極端な話、お金を受け取る前にキャンセルが出来てしまうことになります。
トラブルを避けるためにも、振り込みではなく、現金で受け取るようにしましょう。
※ただし、手付金が1,000万円を超えるような場合には、持ち歩くことが難しいので、振り込みとなります。
【注意点3】 手付金の解除期日が妥当であること
解除期日とは、売主と買主が合意した、互いに契約解除権を認める期日のことです。この期日までは、理由を問わず、相手方の承諾なく契約を解約することができます。
しかし、この期間中は、互いに『いつ契約がキャンセルされてしまうかわからない』という不安な状況に置かれることになります。そのため、あまり長い期間だとキャンセルされやすくなってしまうため、売主としてはできる限り短く設定したくなります。
一方、期間が短いと、買主側に不安を与えてしまうことになってしまい、契約が成立しなくなる恐れもあります。
そのため、売買契約から決済までの期間にもよりますが、解除期日としては、【1か月】程度を目安として設定するのが望ましいです。
【注意点4】 買主が住宅ローン審査落ちした場合、手付金は返却すること
手付金は、キャンセル料としての役割を担っていることは前述した通りです。買主側の理由によって契約を白紙に戻す場合には、受け取った手付金はそのまま受け取り、返却する必要はありません。
しかし、次の理由による契約解除の場合は、手付金を返却することが一般的です。
- 買主が住宅ローン審査に通らなかった場合
不動産は高額であるため、現金で購入できる方は多くありません。そのため、金融機関の住宅ローンを利用して購入することがほとんどです。
しかし、誰もが住宅ローンを利用できるわけではなく、一定の基準が設けられています。この基準をクリア出来なければ住宅ローンを利用することはできませんので、買主は不動産購入を断念せざるを得ません。
こうなった場合、契約を白紙に戻すことになります。
買主側の一方的な理由でのキャンセルとはいえ、買主に手付金が返却されないのは“泣きっ面に蜂”状態となってしまうので、買主を保護するための特約(住宅ローン特約)を定めることが一般的です。
住宅ローン特約は、買主が住宅ローン審査に通らなかった場合は、不動産売買契約をペナルティなく白紙に戻すことができる特約です。
そのため、受け取った手付金は返却しなければなりませんので、決済が完了するまできちんと全額保管しておくようにして下さい。
まとめ
不動産売却時の手付金の必要性と相場、そして注意点について紹介しました。
不動産売買契約時、買主が『この不動産を購入します』という証拠として、買主から売主へ「手付金」が支払われることが慣例となっています。
手付金は、キャンセル料としての役割があり、買主側の理由によるキャンセルの場合は、そのまま受け取ることができますが、売主側の理由によるキャンセルの場合には、その倍額を支払わなければならなくなりますので、手付金の金額設定は慎重に決める必要があります。
また、不動産売買契約が無事に行われ、手付金を受け取ると一安心してしまう方も多いかもしれません。しかし住宅ローン審査によって、致し方なく契約を白紙に戻さなければないないこともありますので、決済が完了するまでは、安心しきらないようにしましょう。
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